完全競争市場と寡占市場の具体例
こんにちは!ご質問ありがとうございます。
まず、完全競争市場についてですが、ドンピシャの具体例はありません!
なぜなら、完全競争市場は完全に「理論上の」競争市場だからです。
完全競争市場が成立するには、以下の条件が必要です。
1. 「無数の取引主体」・・・消費者と生産者は無数に存在し、各個人は「価格」に対する支配力を持ちません。
2. 「参入・退出が自由」・・・消費者や生産者として市場に「参入」するのも、市場から「退出」するのも自由です。
3. 「財の同質性」・・・市場で売買される財に「差」は存在しないと仮定します。
4. 「情報の完全性」・・・すべての消費者と生産者の間で、市場で売買される財に対する情報に「差」は存在しないと仮定します。
これらの条件を「完全」に満たしている市場は恐らく存在しないでしょう。
現代の社会で、完全競争市場に近いと言われているものは、ガソリン小売り市場(ガソリンスタンド)と外国為替市場です。
【ガソリ小売り市場】
商品の差別化:ほとんどない
商品の買い手:非常に多数(←車のドライバー)
商品の供給者:非常に多数(ガソリンスタンドは、大手からガソリンを購入していることは多いですが、ガソリンスタンド自体は〇〇石油という個人経営が多いです)
市場への参入・退出:自由
ということで、完全競争市場の条件をある程度満たしているのかな、とは思います(一部、値段によって、ガソリンの質が違うという話はありますが)。
地域によって違いますが、ガソリンは大体どのガソリンスタンドでも同じ価格帯に収まっていることが多いでしょう。そこがその地域のガソリンの「均衡価格」と考えることができます。
たまに、値段が安いガソリンスタンドに給油の列ができていたたりしますよね?あの現象は、価格競争の結果だということができます。
また、外国為替市場は、
商品の差別化:ない(←通貨を取引するので、それぞれの通貨の中での差異はないです)
商品の買い手:非常に多数(国内外の法人・個人トレーダー・政府)
商品の売り手:非常に多数(国内外の法人・個人トレーダー・政府)
情報の完全性:為替に影響を与える情報などはメディアを通じて、ある程度共有されているのかな、と思います。
外国為替市場では、需要と供給の関係によって円高や円安になったりします。需給関係がよく表されているので、これも完全競争市場に近い例だと思います。
また、寡占市場の例としては、即席めん(インスタントラーメン)市場などと携帯電話市場を見ておきましょう。
まずは、即席めん市場です。下の表を見てください。
これは平成23年のデータですが、上位6社でマーケットシェア91.8%と、圧倒的なシェアを誇っています。
管理価格が形成されているとは、あまり感じられませんが、表の右にあるように、各社で「ブランド」を作り、我々消費者に対してアピールをしています。これは、寡占市場における「非価格競争」の一例と考えて良いのではないでしょうか。
次に、携帯電話市場です。
携帯電話市場はドコモ、au、ソフトバンクの3社で占められています。
最近は、格安スマホなどがありますが、結局は大手3社の回線を借りているため、少なくとも携帯電話回線は3社で占められていると解釈してよいでしょう(下の表でいうMVNOが格安スマホのキャリア)。各社の詳しいマーケットシェアは下のグラフを見てください。
携帯電話に関しては、最近菅官房長官が「携帯電話料金は4割削減することが可能である」と発言していることから、「料金を下げることができるのに、下げていない」という状況(価格の下方硬直性)があるのかな、と考えることができます。
これは管理価格のために、価格の下方硬直性が生じている、と考えることもできます(実際はどうかわかりませんが)。
と、長々と説明しましたが、ピンときていただけましたでしょうか?
もし、「もう少しここを説明してほしい」という部分などがあれば、お気軽に質問してください!ご質問ありがとうございました!
0コメント