内閣総理大臣の資格

こんにちは!ご質問、ありがとうございます。


日本国憲法第67条1項に

「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。」

という記述があります。


また、日本国憲法第66条2項には、

「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」

とあります。


なので、「国会議員」かつ「文民」であれば、内閣総理大臣になる資格がある、ということになります。


ちなみに、衆議院議員であるか参議院議員であるかについては言及がありませんので、制度上は衆議院議員でも参議院議員でも内閣総理大臣になることができます。(ここは、模試なんかでよく引っ掛けで出てきますよね。「内閣総理大臣は衆議院議員の中から指名される」って。)


ただし、これまで参議院議員が内閣総理大臣に指名された例はありません。すべて衆議院議員が内閣総理大臣に指名されています。(なので、上のような引っ掛けが成り立つのですね。)


戦前の話ですが、戦前の内閣総理大臣は「元老による天皇への奏上(推薦)」が行われ、天皇が元老から奏上された人を任命する、という形をとっていました。


「元老」とは、明治政府で国のために力を尽くしたとされる人物が任命された重臣のことです。元老であった人物としては、伊藤博文、山縣有朋、黒田清隆、松方正義、井上馨、西郷従道、大山巌、西園寺公望です。(桂太郎については、諸説あるのでカッコ書きにしておきます。)


元老は大日本帝国憲法の他、どの法律にも書かれているものではなかったので、その存在に法的根拠がないと指摘される場合もあります。しかし、内閣総理大臣の奏上の他、普段は個人個人で活動をして政治的な圧力をかけていたと言われていますし、日露戦争の会議にも元老が参加していたと言われていますし、第一線は退いても、何かと権力を持っていた方々のようです。


憲政の常道の時代には最後の元老、西園寺公望が衆議院の第一党の党首を内閣総理大臣として天皇に奏上していた時代なのですね。


以上、ご理解いただけましたでしょうか?また、何か分からないことがあったら、ご質問ください。ありがとうございました。

質問への回答(後藤貴士)

質問箱へいただいた質問の回答をしようと思います。

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